開院ドクター向け情報

2011年6月17日 (金)

場所の選定(親名義の更地がある場合)3

 前回(と言いましても1年以上前ですが)の続です。前回はこちらhttp://yodel0611.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-bdb1.html

 親名義の土地があり、そこで開院しようという場合です。
 親から土地を借りて建物を建てるケースは前回説明しました。ここでは、親に建物を建ててもらう場合について検討します。

 前提として、親に建物を建てる資金力があることが必要です。年齢からみても借入するにはハードルが高い場合があるためです。もちろん、貸してくれる金融機関があれば、親が借金して建物を建てることもできます。

 これは、親の相続税の対策を考えたときに、考えられる手法です。仮に1億円の医院を建築した場合で、固定資産税評価額が6000万円だったとします。これを子に貸し付けた状態で親に相続が生じた場合、建物の相続税評価額は6000万円の70%である4200万円となります。人に貸しているかどうかで、この30%引きがされるか否かが決まります。
 つまり、親が現金で1億円を持っている状態で相続が発生すれば、1億円に対して相続税が計算されるのに対し、医院を建築することで、4200万円に対しての相続税で済む、というメリットです。
 しかし、親は子から賃料を回収しますので、年々、親の手元に現金が増えていくことになります。親が長生きすればするほど、相続税対策という意味では逆行することがご理解いただけると思います。
 なお、親子が同一生計である場合は、子としては親に払う賃料が経費にはならず、建物の減価償却費や固定資産税が経費となります。その代わり、親にとっても賃料は収益にはなりません。
 親子が別生計であれば、子は親に払う賃料が経費となり、親はその賃料から減価償却費や固定資産税などを差し引いた残りを不動産所得として申告することになります。親子二人合わせての所得税の負担という意味で見れば、節税になる可能性があります。このケースでは、子の所得税率と親の所得税率に差があるときに節税効果が生まれます。親の所得がそれほどなく、子の開業が順調に進んで高い所得税率が課されているケースですと、親子間での賃貸借による所得税の節税効果が生まれます。

 また、親子が同一生計であれば、相続税の特例である特定事業用宅地等というものに該当し、評価を大幅に減らすことが可能です。

 とにかく、親の土地で医院を開業する場合は、この特定事業用宅地等に該当するか否かを考える必要があります。

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2010年6月 1日 (火)

場所の選定(親名義の更地がある場合)2

 ①医院を親が建築して子に賃貸する。

 これについては、後日、案内します。

 ②子が土地を親から賃借して、子が医院を建築する。

 土地を借りるにあたって、きちんと地代を払うというケースです。
 この場合、地代はいくらでもいいのではなく、相当な地代にしておかなければ、借地権の贈与があったものとして贈与税が課税される恐れがあります。この相当な地代という金額については、きちんと計算式がありますが、ここではその説明は割愛させていただきます。単純に、土地の相続税評価額の6%が年間の相当地代になる、とだけ押さえておいてください。
 この地代を払うことで、親の土地の相続税評価が下がる、という効果があります。相当の地代で貸している土地については、20%の評価減が認められているためです。しかし、この評価減については、借りている本人が相続で取得する場合は認められていません。親に相続があったときに配偶者が取得すれば20%の評価減となりますが、最終的には、この親の土地は、そこで開業している子が相続で取得するケースがほとんどと思われます。ですので、地代を払うことによって永久的に相続税評価額を下げる、ということはできないことになります。しかも、親は子から地代を回収しますので、年々、親の手元に現金が増えていくことになります。親が長生きすればするほど、相続税対策という意味では逆行することがご理解いただけると思います。
 しかし、親子同一生計であれば、この土地は相続税の特例である特定事業用宅地等というものに該当し、評価を大幅に減らすことが可能です。

 なお、相当の地代というのが高すぎる、という場合は、親子間で事業用の定期借地契約を交わすという手法が考えられます。相当の地代に満たなくても、近隣水準の地代であれば、借地権の贈与に対する課税の心配が解消されます。

 親子の生計が一緒であるかどうかは、相続税だけでなく所得税の点でも影響します。
 親子が同一生計である場合は、子としては親に払う地代が経費にはならず、固定資産税が経費となります。その代わり、親にとっても地代は収益にはなりません。
 親子が別生計であれば、子は親に払う地代が経費となり、親はその地代から固定資産税などを差し引いた残りを不動産所得として申告することになります。
 このケースでは、子の所得税率と親の所得税率に差があるときに、親子全体での節税効果が生まれます。親の所得がそれほどなく、子の開業が順調に進んで高い所得税率が課されているケースですと、親子間での賃貸借により、「親子の税率差×不動産所得」分の節税効果が生まれます。
 ただ、このあたりは、単に所得税の節税だけに着目をして実行をすると、思わぬ落とし穴に落ちる場合があります。
 それは、親の国民健康保険と、保険診療を受けるときの窓口負担割合です。国民健康保険料は、その人の所得水準によって増えていきますので、不動産所得を得ることによって負担が増えることも考えられます。また、所得水準によって保険診療を受けるときの窓口負担割合も変わりますから、医療費を多額に払っている親御さんですと、この影響も無視できません。節税だけで進めると、こうした影響もありますので十分、注意して実行してください。

 ここでは、親子が同一生計か否かによって、所得税でも相続税でも影響がある、という点をご理解いただければ結構です。

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2010年5月19日 (水)

場所の選定(親名義の更地がある場合)1

 親が持っている土地に医院を建設する場合、考えられるパターンがいくつかあります。
 ただいくつかのパターンに入る前に、そもそもその土地で開院して患者が集まるか否か、という視点が必要です。他に市場性のある場所に土地が見つかれば、買い替えるという選択も当然出てきます。いったん、売却するわけですので、その売却時に所得税・住民税が課税されることが多いですが、市場性のないところでの開院ほど危険なことはありません。
 今の土地を売ったお金で新たに土地を買ってしまうか、今ある土地を担保に借入を起こして他の土地を買うという、二つのパターンが考えられます。
 まずは、その土地で事業として成立するかどうかを検討しましょう。

 この第一段階をクリアしたとして、親の土地に医院を建築するパターンを検討していきます。
 パターンは次が考えられます。
 ①医院を親が建築して子に賃貸する。
 ②子が土地を親から賃借して、子が医院を建築する。
 ③子が土地を親から無償で借りて、子が医院を建築する。

 これらをそれぞれ、後日、解説していきます。

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2010年4月30日 (金)

開業費の取扱・・・経費にするための準備

 一番最初に経理を意識する場面は、この開院前の経費処理でしょう。領収書やレシートの保管をどうすべきか、といったところからのスタートになると思います。
 開院前の段階ですと、まだ医院名も決まっていないことが多いですから、領収書の宛名は個人名を記載してもらいます。宛名が空白であったり「上様」というのは避けましょう。
 最近は領収書の発行を頼んだ場合でも、レシートを一緒につけてくれるお店も多くなりました。レシートがないと何を購入したのかが分からないような領収書も多いですから、領収書の但し書の欄には、きちんと記入してもらいましょう。飲食店の場合ですと、飲食した人数を記載してもらい、後で自ら飲食の場にいた人の名前と打合せをした内容を記載するなどして、必要な経費であることを証明できる準備をしておくことをお勧めします。
 多くの方が、必要な経費でないことを税務署側が証明できなければ大丈夫、と誤解されていますが、これは反対です。事業に必要であることを証明する必要があるのは納税者側であり、これが曖昧であると経費性を否認されかねません。飲食の相手の名前などは、税務署の調査を受ける何年か後のときには忘れていることがほとんどですので、領収書をもらったその日のうちに名前などを記載する癖をつけておくと、作業をためることなく経理処理ができます。

 領収書のもらえない経費というものもあります。開院前ですと、面接に来てくれた人へ交通費として現金を1000円程度渡したりすることがありますが、面接者リストを残しておくことで説明できるようにしておきましょう。もっとも、最近では面接者に現金ではなく、クオカードや図書券のような金券にして渡していることが多いかもしれませんが、その場合は金券を購入したときの領収書も併せて保管しておく必要があります。

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2010年4月22日 (木)

開業費の取扱・・・いつ経費化できるのか?

 開院までに準備費用として、さまざまなコストがかかります。研修に参加した費用やそのときの旅費など、早い段階からかかるコストもあれば、直前に行う求人面接費用のようなものもあります。特に開院前1年以内の費用でなければいけない、ということもありません。医院によって開業までにかかる準備期間は異なります。
 これらは払った年に経費にするものである、と誤解されている方も多いところです。
 実は、この開業前に準備費用として特別にかかるコストは、「開業費」と言い、事業を開始した後に経費にするべきものです。しかも、この「開業費」は、事業を開始した後、いつでも・いくらずつでも、経費にすることができるのです。たとえ10年後であっても構いません。

 例えば、開業費が200万円かかったとしますと、次のようなことが可能です。
・開業初年度はそこまで黒字が出なかったので、開業費を経費にしませんでした。
・2年目はそれなりに黒字が出たので、50万円だけ経費にしました。
・3年目に大きく黒字が出たので、残りの150万円全部を経費にしました。

 所得税の税率は累進税率といい、所得が増えるにつれて高い税率が課されます。同じ200万円の経費であれば、高い税率が課される年に経費にすることで、より節税効果が増します。
 1年目が黒字300万円、2年目が黒字1000万円、3年目が黒字1700万円、4年目が黒字2500万円・・・というときに、開業費200万円を1年目に計上するのと、4年目に計上するのとでは、軽減できる税金の額に大きな差が生じます。所得税と住民税の合計税率は15%から50%までの幅があり、扶養控除などの関係で、場合によっては税負担がゼロになる年もあります。経費にするタイミングを選択することで、経費にした金額の15%の節税効果のときもあれば50%の節税効果のときもあるわけです。

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