法務

2012年2月18日 (土)

みなし贈与と住宅資金贈与

 住宅取得資金贈与は、金銭を贈与で受けた場合に限られます。
 しかし、贈与税の世界では、民法上の贈与だけでなく、みなし贈与があります。

 民法上の贈与では、書面による贈与か口頭による贈与か停止条件付き贈与かの3つが考えられます。贈与時期は、書面による場合は贈与・受託の意思が成立したとき、口頭の場合は履行されたとき、停止条件付きは条件が成就したときです。口頭の場合は、履行するまでいつでも撤回できることから、履行されたときをもって贈与時期とします。お金をあげる・もらうという口約束なら、振り込んだ日が贈与時期です。

 みなし贈与は、過去記事でも少し触れましたがhttp://yodel0611.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-93ee.html、保険金・定期金受給権・低額譲渡・債務免除・その他(相法5~9条)、となります。これらは、民法上の贈与ではないものの、実質的に贈与と同じ効果があるということで、贈与とみなして贈与税を課税するというものです。

 住宅資金贈与については、民法上の贈与だけでなく、贈与とみなされた保険金を住宅取得の対価にあてた場合もOKとする質疑応答事例があります。http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/sozoku/17/01.htm
 父が保険料を負担し、保険事故が起きて子が保険金を取得するのが5条1項ですが、偶然の事故によって得た保険金を住宅にあてるとも思えません。この質疑は、保険解約をして子が解約金を受け取る5条2項のパターンを想定しているものと思われます。
 
 そこで、この質疑があるから、すべてのみなし贈与について対象になるかと言えば、それはないでしょう。5条以外のみなし贈与では、まとまったお金の動きがなく、住宅取得の対価にあてることができません。

| | コメント (0)

2012年1月 4日 (水)

マンション建て替え決議の緩和

 マンションを建て替えるには、区分所有者数と議決権数の両方で5分の4以上の決議が必要です(62条)。議決権というのは、基本的に専有面積です(14条、38条)。

 この80%という厳しいラインゆえに、建て替えになかなか進めないということもあるようですが、これを緩和する改正案を出すとのことです。
http://www.nikkei.com/access/article/g=9695999693819481E2E1E2E2E38DE2E1E2E3E0E2E3E09F9FEAE2E2E2

 3分の2程度まで下げる案が出ているようです。

 宅建の受験のときに、この5分の4という数字に馴染みがなく覚えにくかったのですが、3分の2であれば、会社法で馴染みのある数字です。

 この改正があれば建て替えがしやすくなり、建築業界としてはいいことなのでしょう。その意味では、景気策とも呼べそうです。ですが、建て替えに反対して参加しない人に対して、建替え参加側から売り渡し請求できる規定があります(63条)ので、あまりにたやすく建て替えできるのも問題です。

| | コメント (0)

2011年10月27日 (木)

養子縁組

 養子縁組をすることを相続税対策として実行するケースは、時々耳にするところです。
 そして、この養子縁組が、税務上否認されることがあるか?との質問をもらうこともあります。

 養子縁組でもめるケースは、税金よりも法定相続分についてです。
 長男と二男が推定相続人の状況で、長男が自分の子供を親の養子(孫養子)にした場合、二男の法定相続分は2分の1から3分の1に減ってしまいます。ですので、二男が長男に対し、その養子縁組は無効だと訴えるという揉め事が起こりえます。

 こうしたケースについての判例も実際にあります。しかし、養子縁組を無効とするのは、親が呆けているなどの状況でないと難しいようです。

 そして、養子縁組について二男は納得して遺産分割に応じ、無効と訴えるようなこともなければ、その養子縁組によって結果的に節税になったとしても、税務上、否認されることはないのでしょう。

| | コメント (0)

2010年12月 6日 (月)

贈与の意思

 個人間の貸し借りについて、110万円以内で免除して贈与税の基礎控除内におさめる、という処理はよくあります。何気なく行っている処理ですが、贈与と債務免除は民法から見れば、次の点が異なります。

 債務免除は、貸主からの意思表示だけで効力が生じます。
 (民法519条)。
 贈与は、受贈者の受諾がなければ効力が生じません。
 (民法549条)

 債務免除は贈与ではないですが、相続税法8条で、債務免除を贈与とみなして贈与税課税の対象としています。何気なく債務免除は贈与です、とやっているのは、あくまで税の世界において8条があるためであり、民法上は贈与とは別物です。

 贈与については受贈者の意思がなければ贈与ではない、という主張がよく見受けられます。たしかに、民法上で言えば、受贈者の意思がなければ贈与ではない、となります。

 受贈者の意思がなければ、贈与ではないものの、それと贈与税がかからないということを同視するのは誤りです。相続税法には9条にもみなし規定があり、ここでは受贈者の意思は無視されていて、受贈者側が利益を受けたか否かで判断することになっています。当然、贈与者側の意思も問いません(9条では、「利益を受けた者」と「利益を受けさせた者」という用語を使っています)。

 つまり、この9条は、贈与者も受贈者も、互いに意思がないケースでも捕捉できる規定ぶりになっていることになります。この9条にぶら下がっている通達の中にも、「結果的に」株価が増した時などを定めているものがあり、それらは互いの贈与意思に関係なく課税されます。自己株・新株、、、このあたりの処理は、株価に注意を払わないと危険です。

| | コメント (0)

2010年5月22日 (土)

登記の中間省略

 宅建の法定更新のための講習会に参加しました。そこでの収穫は、登記の中間省略について、仕組みを教えてもらったことでしょうか。

 もう3年ほど前のことで、中間省略登記が不可能になったことを受けて、実質的な「中間省略登記」を可能とすることになった、というものです。「実質的な」の意味は、所有権が中間の方には移らないようにする仕組みのため、結果、登記は所有権の移転どおりに移ることになります。ですので、所有権移転があったけれども登記が省略される、というわけではありません。

 それが分かっただけで、個人的にはちょっと満足です。

| | コメント (0)

2010年2月 5日 (金)

信託の活用

 信託法が改正されてしばらく経ちますが、特に大きなうねりは感じません。ですが、ここには大きな可能性があります。

 家族内信託こそ、信託の王道。

 これには納得です。

 家族内信託なんて難しい言葉になっていますが、自分の給料を奥さんに預けて子供の教育のために使ってくれと頼むのも信託です。委託者が私で、受託者が奥さん、子供が受益者となります。

 遺言の限界を信託がカバーできる部分も多いです。より自分の遺志を詳細に伝え、かつ従わせることが可能です。

| | コメント (0)

2009年9月 8日 (火)

相続税と民法

 相続という問題にあたっては、相続税だけでなく民法の知識が欠かせません。ですが、税理士は民法を試験問題として課せられていませんので、各税理士が知識や経験の習得に努めなければいけません。

 先月、発刊された「税理士のための相続をめぐる民法と税法の理解」は相続法の逐条解説という形で、一条ずつ、それに関連する税法との関連や判決事例なども記載されていて、実務家にとっては大変ありがたい本となっています。学者が書いた逐条解説本ではないところが魅力の一つですね。

| | コメント (0)

2009年6月12日 (金)

保険金の相続財産性

 生命保険金は相続財産になりますか?と聞かれれば、「なりませんけど相続税はかかります」という答えになります。
 養子は何人までいいですか?と聞かれれば、「何人でもOKですけど相続税の計算上は1人か2人が限界です」という答えになります。

 民法の世界と税法の世界の差になるわけですが、生命保険金の扱いは難しい側面があります。

 そもそも生命保険金は相続財産ではなく、だからこそ、税法において、「相続財産とみなす」という規定になっています。

 では特別受益にもならないかどうか、という問題が出てきます。これはH16.10.29の最高裁判決があり、基本的には特別受益ではないものの、保険金額の遺産総額に対する比率などを見て特段の事情があれば特別受益に準じた持ち戻しをするとなっています。

 一方、特別受益は遺留分減殺請求の対象になるかどうか、という問題も出てきます。これもH10.3.24の最高裁判決で、相当以前の贈与であり減殺請求の対象とすると酷であるなどの特段の事情があれば減殺の対象にならないとしています。

 結局は、事案ごとに異なるというところになってきます。

| | コメント (0)

2009年3月18日 (水)

事業承継Q&A

 司法書士連合会のホームページで、事業承継に関する一般の方向けの小冊子がダウンロードできます。
 http://www.shiho-shoshi.or.jp/association/publish/booklet/index.html

 事業承継に関係する各種法令ごとにまとめられています。相続法・会社法・経営承継円滑化法・税法 と事業承継について、という具合です。

 最後に司法書士の業務についてもアピールがあります。多重債務についての相談、という項目もありますが、これは、よく電車内やバス内でも広告が貼られていますね。あのイメージばかりが先行してほしくないものです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月12日 (木)

遺留分特例

 今月から遺留分の合意についての特例がスタートしています。先週、雑誌に「いよいよスタート」という見出しを見て、ハタと気づいた次第です。

 この手の特例は、事前にセミナーやら書籍やら、いろいろ情報があふれだすのですが、いざ、スタートするとなると静まり返っている、、、というのはよくありますね。

 だからと言って、スタートする日を忘れてはいけませんが、遺留分合意の特例は、贈与の納税猶予との絡みもあります。贈与の納税猶予は、4月スタートの予定ですから、3月に合意をするというケースは少ないでしょう。ありうるとすれば、過去に実行済みの贈与について、改めて、遺留分の合意をするケースでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧